2007/08/25

今週の避暑地──比叡山延暦寺

2007.08.25
【京都府/滋賀県】 県境とは言え、滋賀県側になりますね。

 横川(よかわ)(Map)


 昔からの修行の地を、避暑地だなんて言ったらバチが当たるだろうか?
 山頂が848mですから、高原の涼しさは求められなくても多少は楽だといいな、程度の期待を持ちながら行ってみたのですが、それが体感できました! 30度前後だったんじゃないかな(午後2時頃着)「うわ、楽だ!」の印象がうれしくて「来てよかった」なんて言ったら仏様にしかられそうです……
 と言うのも、本日はJR京都駅からバスに乗ったのですが、その行列を目にしてクラッと来ました。「山道を登るバスに1時間も立って乗るの?」と。
 代案と考えていた東福寺周辺は市内なのでとても暑そうだ、と悩んだ結果だったのでその喜びもひとしおです(どういう動機やねん!)。


 実は延暦寺は2度目で、最初の時は毎度の事ながら何も調べずに行って、おまけにブラブラふもとで時間を使いすぎてしまい、後述の東塔(とうどう)しか見られませんでした。
 ここを回るには、シャトルバスの時間を調べるなどちゃんとした計画が必要であることを学んで帰りました。
 ここはいわゆる「テーマパーク」的な場所で、主催者側が意図した行動計画に沿わないと回れない、という実に不便(嫌い)な場所になっています。
 自動車であれば自由に動けますが、有料道路は結構高そうです。


 比叡山延暦寺とは、その名の寺があるわけではなく「横川」「西塔」「東塔」(東塔がメイン)を総じて呼ばれる(いわゆる山の)名称です。
 イメージとしては、弁慶をはじめとした武勇にたけた僧侶が立てこもる「独立自治を目指す集団」の印象が強く、どこかの国の宗派対立を想起してしまい、いいものを持ち合わせていませんでした。
 現在でもその名残として「山は延暦寺のもの」(治外法権)的な商売をしているように見受けられ、この先は「テーマパーク」なので入場料と指定交通機関の利用料が必要です、とどこが違うの? と感じてしまいます。それを国に認めさせているのか、工作をしているのか分かりませんが「やはり変!」という印象を受けました(高野山は駐車料も何も取られなかったと思う)。
 でも業績的には、浄土宗の法然、浄土真宗の親鸞、臨済宗の栄西、曹洞宗の道元、日蓮宗の日蓮などを輩出した「日本仏教の大学(修行所)」と言われるわけですから、修行の場としては素晴らしい環境だったに違いありません。




 西塔(さいとう)(Map)


 撮り方が下手なので分かりづらいかも知れませんが、雑誌などで目にする絵です。苔がとてもきれいでした。
 後ろの建物は常行堂といい、右側に同じ構造の法華堂というお堂があり、その間が橋のような廊下でつながれています。
 その廊下の部分を弁慶が担いで山を登ってきたと伝えられ、「弁慶のにない(かついだ)堂」と呼ばれているそうです。弁慶という男「どんだけー?」(使い方合ってます?)。
 比叡山全体に言えるのですが立派な杉木立ちが印象的で、中でも西塔の最も大きな建造物である釈迦堂横にそびえる立派な三本杉(勝手に命名しました)には、うならされました。




 東塔(とうどう)(Map)

 参拝者が石を積んだと思われる、願いが詰まってしまった石塔です。この光景から一休さんのようにとんちを効かせて、新しいお祈りの方法を提案してくれると、また来ようという人が増えるのでは? ってのは不謹慎?
 下の写真奧が根本中堂で、非常に大きな建造物です。
 門を入った中庭がとても絵になる場所なのですが「撮影禁止」の看板があるので、日本人としてはこういう場での不道徳は慎もうという意識が働きます。ここ延暦寺も世界遺産なので「ガイジン、ぎょうさんおるでー」「カンジ、わかりませーん」……
 そんなの当たり前なわけで、カメラ禁止のマークとか貼らないとダメじゃないかと思いますが、仏閣にあのマークは無粋です。てことは、撮られても仕方ないと思っているの? 確かに防ぎようもないのですが、やはり日本人ですから……
 根本中堂の中はかなり広く、護摩焚きをする座は「ゆく年、くる年」で見たことがあります。
 そういうオープンさは密教らしくないのではと思いましたが、最澄(伝教大師)が開いた「日本的宗教大学」において、日本の文化・生活向けに解釈し直され布教されたと考えれば、その後の繁栄が理解できるのではと感じました。


 帰り着いたJR高槻駅に降り立った瞬間「何だ、この暑さは!」と体感したものは正しかったようで、比叡山ふもとの夕方の気温は29度、ここ高槻は33度なんですって。
 やっぱり、避暑地に違いなかったようです……

 P.S. こちらに越してきてちょうど1年になりました。夏の暑さに慣れたと言うか、諦められるようになってきました。「あるがまま」への第一歩と受け止めています。

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